COLUMN マンションの管理費・修繕費は老後になっても払える? 払えないときの対策は?
現在、マンションにお住まいの方や今後マンションへの住み替えをご検討の方の中には、マンションの管理費や修繕費が老後になっても払い続けられるか心配な方も多いのではないでしょうか。この記事では、老後のマンションを維持するのに必要な費用や収支、もしもの時の具体的な対策について詳しく解説します。
毎月のマンション管理・維持にかかる費用とは
マンションの管理・維持にかかる費用は、一軒家とは大きく異なります。ここでは、マンションに住む際に想定されるさまざまな費用について詳しく見ていきましょう。
管理費
管理費とは、エレベータの保守点検や共用部分の電気代、廊下やエントランスの清掃、マンション敷地内の手入れなど、主にマンションの共用部分の維持管理にかかる費用のことです。ひと月あたりの管理費の相場はマンションごとに大きく異なります。例えば、24時間の有人管理やフロントサービスの有無など、管理サービスが充実している場合には管理費は高くなるのが一般的です。また、大規模なマンションは共用部分が多いため管理費用も高くなる傾向があります。
固定資産税
マンションに限らず、住まいを所有していると課せられるのが固定資産税です。具体的な金額は所有する不動産の評価額によっても異なりますが、課税額としては評価額の1.4%が相場といわれています。
高額な物件や立地条件の良いエリアの場合、評価額が高くなるため固定資産税も高額になるのが一般的です。また、共用施設が充実しているマンションは、評価額も高くなる傾向があります。
修繕積立費
修繕積立費は、その名の通りマンションの長期的な修繕工事に備えて積み立てられる費用のことです。外壁の塗り替え、エレベータの交換、屋根やバルコニーの防水工事など、大規模な修繕工事に使われる費用を指します。金額はマンションの規模によっても異なりますが、築年数が経過しているマンションの場合は、建物や設備の修繕が必要になるため修繕積立費も割高になる傾向があります。また、マンションの管理組合が将来的な大規模修繕を計画している場合、その費用を賄うために修繕積立費が高くなるのが一般的です。
駐車場代
自家用車を所有していてマンションの駐車場を利用する方は、管理費や修繕積立費に加えて毎月の駐車場代も必要になります。駐車場代はマンションの立地によっても異なり、都市部や交通の便が良いエリアの駐車場は割高です。また、屋根付きの駐車場やセキュリティが完備された駐車場、電気自動車の充電設備を備えているケースなど、設備が充実している駐車場は駐車場代も高く設定される傾向があります。マンションによっては全戸分の駐車場が確保できないこともあり、その場合は需要と供給のバランスによって価格が高くなることもあるようです。
マンションの管理費・修繕費は老後でも払える?
老後のマンションの管理費や修繕費の支払いが心配な方も多いでしょう。ここでは、年金受給額の平均値や老後の生活費の平均値を紹介しながら、老後でもこれらの費用が支払えるかどうかを考えてみます。
年金受給額の平均値
厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和5年7月現在)」によると、年金受給者の平均月額は、厚生年金が約15万円、国民年金が約5.7万円となっています。厚生年金と国民年金を併せて受給する場合は、平均的な年金受給額は月額20万円ほどになりますが、受給額は個々の加入期間や納付額、年金制度の加入状況によっても大きく異なるため、具体的な受給額をまずは把握することが大切です。
老後の生活費の平均値
総務省の「家計調査」(※1)によると、二人世帯の老後の消費支出は月額275,766円となっています。
また、公益財団法品生活文化保健センターの「生活保障に関する調査」(※2)によると、老後の「最低日常生活費」に「老後のゆとりある上乗せ額」を合計した「ゆとりある老後生活費」は月額平均37.9万円となっています。
※1:【総務省】家計調査 2023年
※2:【生命保険文化センター】2022年度 生活保障に関する調査
老後に管理費・修繕費が払えないときの対処法
老後の生活において、マンションの管理費や修繕費の支払いが困難になることがあるかもしれません。そのような場合に備えて、以下の対策を考えておくことも大切です。
管理費の内訳を見直し、管理組合に費用削減を打診する
管理費の支払いが難しくなった場合には、その内訳を細かく見直すことがポイントです。管理費はエレベータの保守点検や共用部分の清掃、セキュリティサービスなどにかかる費用ですが、削減できる項目がないかを確認してみましょう。その上で、マンションの管理組合に申し立てをして、住民からの要望として管理費の見直しをお願いしてみましょう。年1回開かれる総会で議題として検討してもらうことを目指しましょう。
中古マンションとして売却する
どうしても管理費や修繕費の支払いが困難な場合には、中古マンションとして売却することも選択肢のひとつです。管理費や修繕費は毎月支払いが続くもののため、一時的な削減では意味がありません。マンションを売却することで資金を現金化することによって、新しい住居の費用に当てることもできますし、売却益を使って老後の生活費を補うことが可能です。また、売却した資金を元に、より経済的な負担の少ない住居に住み替えることで、管理費や修繕費の問題を解決することもできます。ただし、売却する場合には、マンションの市場価値を考慮して、最適な時期に売却を行うことが重要です。マンション売却の知識がなく不安な場合には、不動産業者に相談して適切な売却方法を選びましょう。
老後におけるマンション管理費や修繕費の支払いに対する不安は、事前に費用を把握し、適切な対策を講じることで安心へと変えられるはずです。管理費や修繕積立費の内訳を見直し、支払いが困難になった場合の対策をあらかじめ検討しておきましょう。
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